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十二月の恐るべき子供たちへ Part I



 明日までだって、それ本当。大変だよ、すっかり忘れていた。ぼくみたいな真面目な学生にいきなり、レポート提出なんて、それも一週間で二十枚は酷だぜ。今から文献さがしたって、間に合わないし、なにも見つからないよ。

 でも、それ出さないと卒業できないでしょう。だめだ、頑張らなくちゃ。もう、田舎の親父なんか、車まで買って待っているんだから。どうしようか。時間がないから、普通のやり方じゃあだめなんだ。

 そうだ、友だちにメイルを送って助けてもらおう。ぼくのWeb友だちは、全世界に散らばってるんだ。日本が眠っているときでも、ロンドンは午後だし、ニューヨークの友だちはまだ仕事している。お願いは掲示板にも2つとも書いたし、みんなに手分けしてもらって、Webの中のリンクと検索エンジン使って、レポートを仕上げればいんだ。まとめるだけなら、なんとかなるぞ。

待てよ、Unix の使い方については、たしか親切なサイトがあったよ。

http://www.geocities.com/Tokyo/Flats/7412/linuxnewbie.html

 お願いだから、パパのことを困らせないでね。おまえはいい子にしているんだよ。ジジ。さてと、打つ手は打ったし、今夜は徹夜になりそうだから、なんか食料でも見つけてくるか。


 といって、町にでかけたのはいいけれど、少し遠出しすぎて戻ってきたら、空が明るくなっていた。

 深く反省しています。恐る恐るメイルボックスをクリックする。何もにない。一通もメイルがない。そんなことってある。

 慌ててネットスケープを立ち上げる。午後の授業まであと、八時間しかない。 画面には見なれたページのかわりにブルーバックに七色の

  Happy Birthday の十三文字がならんでいるだけ。

 ちくしょう、なにふざけているんだ。誕生日なんか、とっくに、いや、待てよ、そうか、今日だったのか。ほんと忙しくて忘れていたよ。でも、参った、参った、これじゃあ、レポート提出にはならない。

 やけになって、マウスを掴むと、Happy Birthdayの十三文字にそれぞれリンクが付いている。なんだっこれ。

 よく読むとひとまとまりのきちんとした文章になっている。そうか、これがヒントなんだ。ぼくは、まるでロックのクイズでも解くように散らばった答えを見つけて、一つにまとめた。

おかけでなんとか間に合ったよ。ありがとう。電車の中で、居眠りして、終点までいかないように気をつけるから。

じゃあ、学校にいってきます。

1997.12.2    

Copyright(c) 1997 Mayumi Fujiwara