YES [Fragile]

YESのアルバムで最高傑作をひとつ選ぶとしたら、間違いなくこれを押すだろう。最初の30秒でこれから始まるすべてが、理解できる。70年代にほんとうに聴き込んで、四半世紀たって、また聴き直しているが期待以上の作品。曲の厚味というか、幅というべきか、空間的な広がりのある構成になっていて、すごくシンプルかと思えば、交響詩のような重厚なものまで、さりげなく、それでいて緻密に計算され配置されている。全編に、Love, Distance, Sunrise などのキーワードが埋め込まれていて、それらは呪文のように愛する人との距離と、愛するもどかしさを伝えているのだ。
YES [YESSONGS]

YESSONGSというライブ盤は、LPのときは三枚組だった。LPというのはA面/B面とあるから、全部聞くにはレコードプレーヤーの前に付ききりで、裏/表と替えなければならず、結構神経を使った。でも、そんな長時間かじり付いてしまうほどの魅力があったことも確かだ。スタジオ録音と違って、ライブで同じような音が再現できるのか、このあたりがYESの勝負どころだったような気もする。その中でも、リック・ウエイクマンのシンセサイザーは見事に響き渡っていた。ステージできらきらするガウンをまとっていたのも、若かったからだろうか。真面目なYESの信者だったわたしは、知っている曲が次々と出て来るので、嬉しくてまた最初から、掛け直して聞いたものである。長いこと不明だったYESSONGSがいつ録音されたライブ盤なのか、今日初めて分かった。12/15/72 London UK、Rainbow TheatreのOfficial Recordings。当時の出演者はAnderson, Howe, Squire, Wakeman, White。これはClose To The Edge Tourのひとつだったらしい。レインボー・シアターなら音響効果は悪くないだろう。74年にTen Years After, Queen などのコンサートに出かけたことがある。当時レインボーでコンサートを張れるのは新鋭のバンドだけだった。劇場としても機能したが、ロック・コンサートのメッカだった。70年代の澁谷公会堂といえば、わかってくれる方もいるだろう。その劇場、いまでは、当時のことを知る人もなく、そのままの姿で空家になっているという。年月の残酷さを感じながら、便利になったCDを聞いているのは、複雑な気持ち。